比叡山・延暦寺は「半日で回れる」とよく言われますが、実際に訪れてみると、移動手段やエリアの絞り方によって満足度が大きく変わります。
東塔(とうどう)だけなら余裕を持って拝観でき、西塔(さいとう)まで足を延ばすと少し駆け足。さらに最北の横川(よかわ)まで含めるとなると、徒歩での半日観光はかなり厳しくなります。
この記事では、比叡山の主要エリアを徒歩でめぐる際のリアルな所要時間に基づいた、初心者向けの観光モデルコースを解説します。
この記事でわかること
・「限られた時間でどこまで行けるのか?」
・「徒歩移動の際の注意点と、無理のない優先順位は?」
・「省いても後悔しない場所はある?」
これらの疑問を解消し、自分の体力やスケジュールに合わせた最適なプランが選べる内容になっています。
比叡山の広大なスケールに圧倒される前に、まずはこの記事で「自分に合った回り方」をシミュレーションしてみましょう。
▼ 京都観光を日帰りで楽しみたい方は、祇園周辺を中心にした王道モデルコースも参考に

比叡山・延暦寺観光の所要時間はどれくらいかかる?

画像:引用元
比叡山・延暦寺を徒歩で観光する場合、半日(約3〜4時間)で無理なく回れるのは「東塔(とうどう)」エリアが中心です。
隣接する「西塔(さいとう)」まで含める場合は時間配分に注意が必要で、最も離れた「横川(よかわ)」まで含めると、徒歩での半日観光は物理的にかなり厳しくなります。
比叡山は山地であり、エリア間の移動には想像以上に体力と時間を消費します。まずは、エリアごとの所要時間の目安を把握しておきましょう。
エリア別・徒歩観光の所要時間目安
延暦寺は「東塔・西塔・横川」という3つのエリアに分かれています。
すべてを徒歩で巡る場合、拝観時間を含めて最低でも5〜6時間以上は見ておくのが現実的です。
| エリア構成 | 徒歩での所要時間目安(拝観含む) | 特徴 |
| 東塔のみ | 約1.5〜2時間 | 総本堂「根本中堂」があり、見どころが密集。 |
| 東塔 + 西塔 | 約3〜4時間 | 杉木立の参道を20〜30分歩く。静寂な雰囲気が魅力。 |
| 三塔すべて | 約6時間〜(1日がかり) | 西塔から横川へは徒歩約90分以上の本格的な山道。 |
「主要なお堂を駆け足で見る」だけなら短縮も可能ですが、初めて訪れる方や、御朱印をいただいたり写真を撮ったりする場合は、上記の時間にプラス1時間は余裕を持つことをおすすめします。
【半日観光】どんな回り方が正解?
半日(3〜4時間)の限られた時間で、満足度の高い徒歩観光をするなら、以下の基準でエリアを絞るのが正解です。
- 「定番をじっくり」なら:東塔エリアのみ:延暦寺発祥の地であり、国宝の根本中堂をはじめとする主要スポットが徒歩圏内にまとまっています。
- 「少し頑張って歩く」なら:東塔 + 西塔エリア:東塔から西塔までは、修行の道でもある「弁慶坂」を歩いて片道約20〜30分。森林浴を楽しみながら巡れますが、各お堂での滞在時間は短めにする必要があります。
- 「横川エリア」は半日では厳しい:横川は西塔からさらに4km以上離れています。半日しか時間がない場合は、無理に全エリアを回ろうとせず、あえてエリアを絞った方が、比叡山特有の厳かな空気をゆったりと味わえるでしょう。
【半日】徒歩でめぐる延暦寺観光モデルコース
半日で比叡山・延暦寺を効率よく、かつ深く味わうなら、「東塔(とうどう)エリア」をじっくり歩くプランが最適です。
東塔は延暦寺発祥の地であり、もっとも重要な施設が密集しているため、徒歩移動の負担を抑えつつ、比叡山の厳かな空気感を存分に体感できます。
モデルコース全体の所要時間
- 観光時間の目安:3〜4時間
- 歩行距離:少なめ(東塔中心)
- 移動手段: 徒歩のみ
- ターゲット: 初めて延暦寺を訪れる方、無理なく聖域を歩きたい方
10:00 延暦寺バスセンターからスタート
比叡山観光の玄関口。
ここから一歩足を踏み入れると、外界とは異なるひんやりとした空気に包まれます。
叡山ケーブル→叡山ロープウェイで「比叡山頂駅」に着いた場合は、駅前の「比叡山頂」バス停から比叡山内シャトルバスに乗り、「延暦寺バスセンター」で降りればOK

徒歩約5分
10:10 根本中堂(こんぽんちゅうどう)

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見学目安: 30〜40分
延暦寺の総本堂であり、最大の聖域です。1200年間絶やされることなく灯り続ける「不滅の法灯」は必見。現在、大規模な改修工事中ですが、「修繕中の国宝を間近で見られる」という今だけの貴重な体験(修学ステージ)ができます。(修復は2026年11月まで)

徒歩約5分(坂道を少し登ります)
11:00 大講堂(だいこうどう)

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見学目安: 15分
重要文化財。比叡山で修行した各宗派の開祖の像が並ぶ、歴史の深さを感じるお堂です。
根本中堂のすぐ近くにあるため、セットでスムーズに回れます。

徒歩約5分
11:30 延暦寺会館 でランチ

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宿泊施設ですが、一般のランチ利用も可能。
琵琶湖を一望できるレストランがあり、うどん・蕎麦や、精進料理などが楽しめます。
通り道にある、誰でもお参りできるお堂「萬拝堂(まんぱいどう)」に立ち寄っても◎

徒歩約10分(急な階段・坂道があります)
12:40 阿弥陀堂(あみだどう)・法華総持院東塔

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見学目安: 15分
少し高台に位置するため、景色がパッと開けます。
朱色の美しい阿弥陀堂と東塔は、写真映えするスポットとしても人気。
少し階段を登りますが、その先で待つ静寂な空間は、東塔エリアの中でも特に心が洗われる場所です。

徒歩約7分
13:00 延暦寺バスセンターに到着、帰路へ
他のエリアのおすすめプラン
西塔エリア半日プラン|静寂と修行の地を深く味わう

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「延暦寺には何度か来ている」「とにかく静かな場所を歩きたい」という方には、西塔エリアに絞った半日観光もおすすめです。
- エリア全体の見学時間の目安: 約1.5〜2時間
- 特徴: アップダウンのある参道(山道)を歩くため、スニーカーなどの歩きやすい靴が必須
西塔エリアの主な見どころ
- にない堂(常行堂・法華堂): 同じ形のお堂が廊下でつながった珍しい建物。弁慶が担いだという伝説がある、西塔のシンボルです。
- 釈迦堂(転法輪堂): 西塔の本堂。延暦寺に現存する最古の建物で、その堂々たる佇まいは圧巻です。
- 浄土院: 伝教大師・最澄の御廟。いつ訪れても庭が掃き清められており、比叡山で最も清浄な空気が流れる場所と言われています。
メリット: 東塔に比べて観光客が少なく、自分自身と向き合うような深い参拝ができます。
注意点: 根本中堂(東塔)のような「誰もが知る定番スポット」はありません。また、売店や食事処がほぼないため、ランチや休憩は東塔エリアへ戻るか、下山してからにする必要があります。
横川エリア集中プラン|半日でも可能プラン

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「混雑を避けて、より厳かな雰囲気を味わいたい」という方は、東塔には立ち寄らず、最初から横川エリアだけを目指すのも一つの手です。
- 移動方法: 比叡山頂や延暦寺バスセンターから、シャトルバスで約15分。
- 横川エリア全体の見学時間の目安: 約1.5〜2時間
- 横川エリアの魅力: 舞台造りの鮮やかな「横川中堂」・おみくじ発祥の地とされる「元三大師堂(がんざんだいしどう)」
- メリット: 東塔に比べて参拝客が少なく、自分のペースでゆったりと歩けます。
このプランの注意点
・バスの時刻表が「命」: 横川行きのバスは本数が限られています。1本乗り遅れると30分〜1時間待ちになることもあるため、到着時に必ず「帰りの便」を確認しておくのが鉄則
・東塔(根本中堂)は見られない: 延暦寺のメインスポットである根本中堂は東塔エリアにあります。初めての参拝で「定番を外したくない」場合は、東塔中心のプランがおすすめ
後悔しないための「優先順位」の付け方
比叡山・延暦寺を半日で巡る際、最も大切なのは「どこを諦めるか」を決めることです。広大な山内をすべて見ようとすると、移動だけで時間が過ぎ、肝心の参拝が疎かになってしまいます。
「せっかく来たのに……」と後悔しないための、賢い取捨選択の基準を紹介します。
半日観光なら「省いても問題ない」場所
以下のポイントは、半日(約3〜4時間)の徒歩観光では思い切ってカット、あるいは次回に回しても大丈夫です。
- 横川エリア(全域) 東塔・西塔から距離があり、徒歩移動だけで往復2時間以上を消費します。バスを使う場合も待ち時間がネックになるため、「半日観光」の枠からは外すのが現実的です。
- 西塔エリアの「全スポット」制覇 西塔へ行く場合も、すべてのお堂を回ろうとすると後半が慌ただしくなります。「浄土院と釈迦堂だけ」というように、エリア内でもさらに絞り込むのがコツです。
- 写真撮影へのこだわりすぎ 比叡山はどこを撮っても絵になりますが、1か所に時間を使いすぎると拝観終了時間に間に合わなくなる恐れがあります。
これらを省いたからといって、「延暦寺を見た気がしない」ということはありません。 むしろ移動を減らすことで、一つひとつの場所で深く呼吸し、比叡山の空気を感じる時間を確保できます。
ここだけは外せない!必見スポット
一方で、どれほど時間がなくてもここだけは押さえておきたいのが、東塔エリアの「根本中堂」です。
- 理由: 延暦寺の総本堂であり、1200年続く「不滅の法灯」が安置されている、いわば比叡山の心臓部です。
- 体験の価値: 建物単体の美しさだけでなく、一歩足を踏み入れた時の静謐(せいひつ)な空気感は、ここを訪れてこそ得られる体験です。
「時間が限られているけれど、延暦寺に来たという実感が欲しい」という方は、まずは根本中堂をじっくり拝観することを目指しましょう。
【タイプ別】あなたにぴったりの半日コースはどれ?
ここまで紹介した通り、比叡山はエリアごとに全く異なる魅力を持っています。自分の目的や体力に合わせて、以下の3つの選択肢からベストな道を選んでみてください。
| おすすめタイプ | 選ぶべきエリア | 理由 |
| 初めての比叡山!王道を歩きたい | 東塔中心コース | 根本中堂があり、移動も最小限で満足度が高い。 |
| 人混みを避け、静寂に浸りたい | 西塔集中コース | 修行の地らしい厳かな山道を歩き、自分と向き合える。 |
| 霊験あらたかな雰囲気が好き | 横川集中コース | おみくじ発祥の地。東塔とは違う独特の聖域感。 |
初訪問者向けの結論まとめ
徒歩での比叡山・延暦寺観光を成功させる秘訣は、「遠い場所は思い切って省き、選んだ場所を丁寧に歩く」こと。
これで、時間に追われる「作業のような観光」が、心に深く残る「納得感のある日帰り旅」に変わります。
徒歩で回る比叡山・延暦寺観光の基本ルート

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比叡山・延暦寺は敷地が非常に広く、徒歩観光は「距離」と「高低差」をどう考えるかが重要です。
すべてを歩いて回ることも不可能ではありませんが、初めて訪れる場合は、エリアを絞って歩く前提で計画する方が現実的です。
徒歩観光がおすすめな人・向いていない人
徒歩での比叡山・延暦寺観光は、向き・不向きがはっきり分かれます。
事前に自分のスタイルと照らし合わせておくと、当日の満足度が大きく変わります。
徒歩観光がおすすめな人
- 普段からよく歩く、長時間の散策に慣れている
- 観光地をゆっくり見て回りたい
- 写真撮影や静かな雰囲気を楽しみたい
- 東塔エリア中心の観光を考えている
徒歩観光が向いていない人
- 坂道や長距離の徒歩が苦手
- 体力にあまり自信がない
- 小さな子どもや高齢の方と一緒に訪れる
- 半日で複数エリアを効率よく回りたい
後者に当てはまる場合は、一部区間でバスや車を併用する方が、結果的に疲れにくく、観光を楽しみやすくなります。
徒歩で回る際の注意点(坂・距離・服装)
比叡山・延暦寺の徒歩観光で、特に意識しておきたいのが「思った以上に歩く」という点です。
平地の観光地と同じ感覚で考えると、途中で体力を消耗しやすくなります。
実際にきつく感じやすいポイント
- エリア間の移動区間(東塔〜西塔など)
- 参道が長く続く場所
- 緩やかでも距離のある上り坂
一気に急坂があるというより、じわじわ体力を削られる区間が多いのが特徴です。
服装・持ち物のポイント
- 靴は必ずスニーカー(サンダル・革靴は不向き)
- 歩きやすい服装(特に夏は通気性重視)
- 水分は多めに持参(自販機が少ない区間あり)
特にスニーカーは必須で、「観光用の歩きやすい靴」ではなく、普段から履き慣れているものを選ぶと安心です。
比叡山・延暦寺「半日・徒歩観光」のよくあるQ&A
比叡山・延暦寺は、訪れる人の体力やスケジュールによってベストな回り方が変わります。出発前に解消しておきたい疑問をQ&A形式でまとめました。
- 半日で時間が余ってしまったら?
-
無理に別エリアへ移動せず、今いるエリアを「深掘り」するのが正解です。 もし東塔エリアで時間が余ったなら、西塔や横川へ急ぐよりも、以下のような過ごし方がおすすめです。
- 御朱印巡りや、各お堂の細かな装飾をじっくり眺める
- 少し坂を登って、比叡山頂からの琵琶湖の絶景を眺めに行く
- ガーデンミュージアム比叡や、ほんの少しだけ足を伸ばす
エリア移動を始めると「歩く時間が大半」になり、半日のリズムが崩れやすいため、「寄り道を足す」くらいがちょうど良いでしょう。
- 徒歩とバス、どちらがいい?
-
東塔エリアのみなら「徒歩」、複数エリアなら「バス併用」が現実的です。
半日で「東塔+西塔」のように欲張りたい場合は、エリア間だけバスを使い、境内は徒歩で回るハイブリッド方式が最も安心です。
- 初心者でも迷わず回れる?
-
東塔エリア中心であれば、初心者でも大きく迷う心配は少ないです。東塔エリアは案内板も多く、参拝客の流れもあるため、初心者でも迷うことはありません。
ただし、西塔や横川まで含める場合は、分岐点で方向を確認する意識を持った方が安心です。
事前に大まかな位置関係だけ把握しておくと、無駄な往復を防げます。 - 夏や冬、歩きやすさはどう変わる?
-
季節によって「難易度」が劇的に変わります。
- 夏(7月〜8月): 山の上とはいえ、日差しと湿度で体力を消耗します。水分補給と休憩を前提に、ゆとりを持った計画を。
- 冬(12月〜3月): 空気は澄んで美しいですが、路面の凍結に注意が必要です。石段が滑りやすいため、防寒対策に加えて「滑りにくい靴」が必須。
- 雨の日は徒歩観光を避けるべき?
-
小雨なら可能ですが「東塔エリア限定」にするのが無難です。 比叡山は石段や坂道が多く、雨の日は非常に滑りやすくなります。
雨の日は、
- 東塔エリアに絞る
- 屋内拝観がある場所を中心に回る
といった形で、無理のない範囲に調整すると安心です。
まとめ|初めての比叡山・延暦寺観光は半日・徒歩でも十分?
初めて比叡山・延暦寺を観光する場合、半日・徒歩でも十分に満足できる観光は可能です。
ただし、そのためには「すべてを回ろうとしない」判断が欠かせません。
半日観光で意識したいポイントは、次のとおりです。
- 東塔エリアを中心に回る
- 移動距離が長いエリアは無理に含めない
- 体力と時間に余裕があれば寄り道を追加する
この考え方をベースにすれば、時間に追われることなく、落ち着いて延暦寺の雰囲気を味わえます。
また、徒歩観光は自分のペースで回れる反面、距離や坂道による疲労もあります。
不安がある場合は、一部区間でバスを併用するのも立派な選択です。
「半日しかないから」と諦める必要はありません。
見どころを絞り、回り方を工夫すれば、初訪問でも納得感のある比叡山・延暦寺観光ができます。
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